高山祭は、京都の祇園祭、滋賀の長浜曳山祭と並び「日本三大美祭」の一つに
数えられています。
また文化財としての価値も高く1960年には高山祭の屋台(全屋台)が国の
「重要有形民俗文化財」に、
1979年には高山祭の屋台行事が「重要無形民俗文化財」に指定されました 。
さらに、2016年には「山・鉾・屋台行事」の一つとしてユネスコ無形文化遺産に
登録されています。
絢爛豪華な屋台が歴史ある町並みと見事に調和し、独特の美しさを創り出して
います 。
祭りの壮麗さと歴史的背景が一体となり、訪れる人々に深い感動を与えています。
見どころが満載の祭り屋台、そしてからくり奉納についてもお伝えしますので、
祭りの奥深い世界に触れてみてください。
ぜひ、この記事を読んで、高山祭りを満喫するための予習に役立てていただける
と嬉しいです。
この記事を読んでわかること
- 高山祭りの歴史や文化的な背景
- 高山祭の見どころや楽しみ方
- 高山祭のタイムスケジュール
高山祭りの歴史と文化:なぜ「動く陽明門」と呼ばれるのか
高山祭りは、長い歴史を持つ日本の伝統的な祭りのひとつです。
この祭りには、多くの人々の想いや文化が深く刻まれており、その背景を知る
ことで、より一層楽しむことができます。
ここでは、祭りの起源や、祭り屋台の文化について見ていきましょう。
高山祭りの起源と歴史的背景
高山祭りは春の「山王祭」と秋の「八幡祭」の年二回開催される飛騨高山を代表する祭りです。
春の祭りは「山王祭」と呼ばれ、毎年4月14日と15日に日枝神社の例祭として
行われます。
一方、秋の祭りは「八幡祭」と称され、毎年10月9日と10日に櫻山八幡宮の例祭
として開催されます 。
これらの祭りは、旧高山城下町の南半分(上町)と北半分(下町)をそれぞれの
氏子区域としています 。
文献上の最古の記録は1692年の山王祭に関するもので、その約40年前には既に
祭礼が行われていたと伝えられています。
屋台の登場は、宝永5年(1708年)の八幡祭における神楽台が始まりとされて
いて、その後、享保年間(1716年~1736年)にかけて多くの屋台が作られ、
高山祭の屋台文化が確立されました。
これらの屋台は、江戸時代の地割や伝統的な町並みが今も残る旧高山城下町を
舞台に曳き揃えられ、見物する人々を魅了し続けています
豪華絢爛な屋台に隠された秘密
高山祭りの最大の見どころのひとつが、精巧に作られた祭り屋台です。
この屋台は「動く陽明門」と称されるほど、豪華で華麗な装飾が施されています。
飛騨の匠たちが持てる技術のすべてを注ぎ込んで作られたこれらの屋台は、
漆塗りに彫刻、金工細工など、細部にまでこだわりが見られます。
また、屋台そのものが歴史的な価値を持つ文化財であり、多くの屋台が国の
重要有形民俗文化財に指定されています。
屋台の装飾には、飛騨の職人たちの誇りと、祭りに懸ける情熱が込められており、
ひとつひとつ異なるデザインやテーマをじっくりと観察するのも高山祭りの
楽しみ方です。
春と秋の祭りの違いとそれぞれの魅力
高山祭りには春と秋で異なる魅力があり、それぞれ場所と時間も異なります。
特に有名なからくり奉納の春の山王祭では、日枝神社境内で行われるのが一般的で、
午前と午後に数回行われることが多いです。
そして秋の八幡祭では、櫻山八幡宮の境内で行われます。
春の山王祭では、屋台の曳き揃えや、からくり人形の奉納が行われ、桜が咲き
誇る春の街並みに映える屋台の姿が印象的です。
特に夜には、提灯に灯りがともされた屋台が街を練り歩く「夜祭」が行われ、
幻想的な雰囲気に包まれます。
一方、秋の八幡祭では、紅葉が始まる季節に、春とは異なる屋台が登場します。
こちらの祭りでもからくり奉納は行われますが、春とは違うからくり人形を
見ることができます。
また、秋の八幡祭では、獅子舞や子ども歌舞伎などの伝統的な行事も行われ、
それぞれの祭りが独自の文化を築き上げてきたことがわかります。
高山祭りのタイムスケジュールと見どころ:いつ、どこに行くべき?
高山祭りを効率良く満喫するためには、当日のタイムスケジュールを事前に把握
しておくことが非常に重要です。
今回は春の祭りは過ぎてしまいましたので、2024年の実績を参考に秋の高山祭りの
主要な行事の具体的な時間と場所をご紹介します。
八幡祭りは見どころが凝縮されていますので、見逃さないように計画を立てましょう!
秋の高山祭り(八幡祭り)のタイムスケジュール

曳き揃えの様子 飛騨高山旅ガイド公式サイトより
秋の高山祭りは、桜山八幡宮の例祭として毎年10月9日と10日に開催されます。
9日には、多くの観光客が楽しみにしている「宵祭」が行われます。
この日は18時頃から提灯をつけた屋台が曳き揃えられ、幻想的な雰囲気の中、
旧市街地を巡行します。
翌10日には、午前中に屋台の曳き揃えとからくり奉納が行われます。
特に、9時30分頃から行われる布袋台のからくり奉納は必見です。
その後、屋台は午後まで城下町を巡行します。各行事の詳しい時間や場所は、
当日の天候や状況によって変更される可能性があるため、現地で配布される
パンフレットや公式サイトで最終確認をすることをおすすめします。
※本年度のスケジュールがまだ発表されていないため2024年実績をもとにした
参考情報を掲載します。
祭礼スケジュール(奉納や夜祭の時間)は毎年変更の可能性あり
2025年版は公式ページにて、情報が更新される予定とのことです。
また春の祭スケジュールについては終わっているため今回は掲載しません。
【開催日程・開催時間】
10月9日(木)…9:00~21:00(夜まで宵祭あり)
10月10日(金)…9:00~16:00
【おもな行事】(2024年の例・参考)
▽屋台曳き揃え 場所:櫻山八幡宮表参道、境内
10月9日(木):9:00~17:00
10月10日(金):9:00~16:00
▽からくり奉納(布袋台) 場所:櫻山八幡宮境内
10月9日(木):12:00~12:20/14:00~14:20
10月10日(金):11:00~11:20/13:00~13:20
▽御神幸(ごしんこう)(祭行列) 場所:祭区域各所
10月9日(木):13:20~15:30
10月10日(金):8:30~12:00/13:30~16:00
▽宵祭(よいまつり) 場所:大新町〜下二之町・下三之町~安川通り~下一之町
10月9日(木):18:15~20:30
屋台の曳き揃えと巡行の見どころ

御神幸の様子 飛騨高山旅ガイド公式サイトより
高山祭りのもう一つの見どころは、豪華な祭り屋台が街を巡行する姿です。
春の山王祭では、屋台が日枝神社周辺の旧市街地を巡行し、秋の八幡祭では、
八幡宮周辺の街を練り歩きます。
高山祭では、春と秋でからくり奉納を行う屋台が異なります。
【春の山王祭】: 三番叟(さんばそう)、石橋台(しゃっきょうたい)、
龍神台(りゅうじんたい)の3台で披露されます 。
石橋台: 濃艶な美女が踊っているうちに狂い獅子に変身し、再び元の姿に戻る
演目が特徴です。
龍神台: 唐子が運んだ壺の中から龍神が突然現れ、紙吹雪をあげながら荒々しく
舞い踊る「はなれからくり」が演じられます 。
32条から35本の綱を操り、謡曲「竹生島」にちなんだ演目です。
【秋の八幡祭】: 布袋台(ほていたい)の1台で披露されます。
布袋台: 布袋和尚と唐子2体によるからくりで、2体の唐子が布袋和尚の肩に
飛び移る「離れ業」と、布袋和尚の軍配からのぼり旗が現れる演出が必見です 。
36条もの綱と8人の綱方を要する極めて複雑巧妙なからくり人形で、離れ
からくり人形の中では日本最高のものとされています 。
高山祭のからくり奉納は、単なる伝統芸能ではなく、高度な「工学的・芸術的」な
技術の結晶です。
何十本もの綱を巧みに操る「綱方」の熟練技、そして人形内部に仕込まれたカム、
滑車、ゼンマイといったメカニズムは、当時の最先端技術と芸術性が融合した
「動く彫刻」と言えます。
屋台が通り過ぎるたびに、その華やかさに目を奪われます。
特に、曳き揃えの際には、複数の屋台が一同に並び、その迫力に圧倒されます。
また、夜には提灯をつけた屋台が幻想的な雰囲気を醸し出す夜祭が行われ、
昼間とは異なる表情を見せてくれます。
高山祭りの期間中は、早朝から屋台の準備が始まるので、朝一番から祭りを楽しむ
のも良いでしょう。
高山祭り観光で混雑を避けるコツ
高山祭りは非常に人気が高いため、多くの観光客で賑わいます。
特にからくり奉納や夜祭の時間帯は、非常に混雑します。
混雑を避けるためには、メインイベントの開始時間よりも早めに現地に到着し、
良い場所を確保するのがおすすめです。
また、人出の少ない早朝や夕方の時間帯に、屋台が保管されている屋台蔵を巡る
のも良いでしょう。
交通規制も行われるため、公共交通機関を利用するか、駐車場を事前に調べて
おくことが大切です。
高山祭りの期間中は、早めの行動を心掛けることで、より快適に祭りを楽しむ
ことができます。
高山祭りを楽しむためのアクセスと交通規制
高山祭りを楽しむ上で、アクセスや交通規制の情報を把握しておくことは非常に
重要です。
特に祭りの期間中は、多くの来場者が予想されるため、事前に準備しておくことで、
スムーズな移動が可能になります。
ここでは、高山へのアクセス方法と、祭り期間中の交通規制について解説します。
飛騨高山旅ガイド公式サイト:https://www.hidatakayama.or.jp/akinotakayamamatsuri/
電車・バスでのアクセス方法
高山へのアクセスは、公共交通機関を利用するのが最も便利です。
JR高山駅は、名古屋や富山、大阪方面から特急列車が運行しており、アクセスが
非常に良いです。
特急「ひだ」に乗れば、名古屋から高山まで乗り換えなしで行くことができます。
また、高速バスも各方面から運行しており、岐阜バスや濃飛バスなどが便利です。
祭り期間中は、多くの人が利用するため、事前に座席を予約しておくことを
おすすめします。
公共交通機関を利用することで、駐車場を探す手間や交通規制を気にすることなく、
高山祭りを楽しむことができます。
高山祭り開催期間中の交通規制と駐車場情報
高山祭りの期間中、特に祭り会場周辺では大規模な交通規制が敷かれます。
旧市街地はほとんどが車両通行止めとなり、周辺の道路も渋滞が予想されます。
そのため、車で高山を訪れる場合は、事前に駐車場の場所を確認しておくこと
が非常に重要です。
市営の駐車場や、周辺のコインパーキングを利用することができますが、
いずれも混雑が予想されるため、早めの到着が必須となります。
また、一部の駐車場は祭り期間中閉鎖される場合もありますので、公式サイト
などで最新情報を確認してください。
交通規制の情報を把握し、公共交通機関も視野に入れることで、高山祭りへの
アクセスをよりスムーズに行うことができます。
飛騨高山旅ガイド公式サイト:https://www.hidatakayama.or.jp/akinotakayamamatsuri/
混雑を避けるための交通手段の選択
高山祭り期間中は、高山市内が非常に混雑します。特に、からくり奉納や夜祭の
時間帯は、道路や公共交通機関が混み合います。
こうした混雑を避けるためには、少し離れた場所に車を停めて、徒歩で会場に
向かうという選択肢もあります。
また、高山駅周辺のホテルに宿泊すれば、徒歩で祭り会場までアクセスできる
ため、移動のストレスが軽減されます。
高山祭りへのアクセスは、事前に計画を立て、混雑を避ける工夫をすることが、
より快適な祭り体験につながります。
高山祭りと一緒に楽しむ:食事・宿泊・お土産情報
高山祭りを楽しむなら、地元の美味しい食事や、快適な宿泊、そして素敵な
思い出になるお土産も欠かせません。
ここでは、高山祭りの期間中にぜひ立ち寄りたい、グルメやお土産、宿泊施設
の情報についてご紹介します。
地元グルメを堪能する:おすすめの食事処

飛騨高山旅ガイド公式サイトより
高山を訪れたら、ぜひ味わいたいのが地元のグルメです。高山祭りの期間中、
多くの屋台も出店しますが、高山ラーメンや飛騨牛のにぎり寿司、みたらし団子
など、高山ならではの食事を楽しむのも良いでしょう。
特に、飛騨牛は柔らかく、口の中でとろけるような食感が魅力です。
また、古い町並みには、昔ながらの喫茶店やカフェも多く、歩き疲れたときの
休憩にも最適です。
高山祭りを巡る合間に、美味しい食事で英気を養い、高山の食文化も満喫して
ください。
高山祭り期間中の宿泊施設と予約のコツ
高山祭りの期間中は、市内や周辺の宿泊施設が非常に混み合います。
そのため、早めの宿泊予約が必須となります。
旅館やホテルだけでなく、ゲストハウスや民宿など、様々な宿泊施設があります
ので、予算や旅のスタイルに合わせて選ぶことができます。
特に、祭り会場から徒歩圏内の宿泊施設は人気が高いため、数カ月前から
予約が埋まってしまうことも珍しくありません。
高山祭りに行くことが決まったら、できるだけ早く宿泊施設を確保することを
おすすめします。
高山祭りのお土産に:おすすめの品々

飛騨高山旅ガイド公式サイトより
高山祭りを楽しんだ思い出に、お土産はいかがでしょうか。古い町並みには、
飛騨高山ならではのお土産を扱うお店がたくさんあります。
飛騨の木工細工や、さるぼぼ、地酒など、伝統的な工芸品や食品があります。
特に、さるぼぼは魔除けや縁起物として知られ、高山を代表するお土産です。
また、高山祭りの屋台を模したミニチュアや、祭り関連のグッズも人気が
あるようです。
高山祭りの感動を、お土産という形で持ち帰り、思い出を振り返るのも
素晴らしい時間になるでしょう。
まとめ
高山祭りは、ただのお祭りではなく、飛騨の歴史や文化、人々の誇りが詰まった
宝物です。
この記事でご紹介したように、祭りの背景を知ることで、からくり奉納や屋台の
巡行がより感動的なものに感じられます。
また、歴史的な街並みを楽しみながら、美味しい食事を堪能し、お土産を選ぶ
時間も、高山祭りを楽しむ上で大切な要素です。
今年の高山祭りが、あなたにとって忘れられない素晴らしい体験になることを
願っています。